ノワール三昧

  • 『ゼロへの逃避行』 ジョン・ファーロウ **
  • 『テンション』 ジョン・ベリー **
  • 『土曜日正午に襲え(クライム・ウェイヴ)』 アンドレ・ド・トス ****
  • 『死刑囚に聞け』 ジャック・バーナード *

D・W・グリフィス監督の『男女の戦』以来、あるいはセシル・B・デミル監督の『男性と女性』以来、映画は飽くことなく男と女のたたかいを描きつづけてきた。<ヴァンプ>とか<ファム・ファタール>とか、スクリーンの悪女群も、そんな戦いのなかから生まれ、ある意味ではフェミニズムとは正反対の次元で男たちの荒唐無稽な、あるいはむしろ、いい気な夢と欲望がでっちあげたロボットであったにもかかわらず(『メトロポリス』のロボットのマリアのように!)、しだいに独自に血と肉を獲得し、その生身の存在そのものが男たちを脅かし、男性至上主義の制度をゆさぶりはじめるのである。ハリウッドが生みだした<フィルム・ノワール>は、まさにそういった驚異の犯罪的美女たちの脅威の軌跡を描いた一つの映画史と言ってもいいジャンルなのである。」
【『映画的な あまりに映画的な 美女と犯罪』山田宏一 著 】


 

新編美女と犯罪

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