チケットもらったので、ボストン美術館展とオルセー美術館展に行ってきた。雨で平日だから空いてるかなーと期待したけど、こういうのって本当人気あるみたいで、予想以上に入っていた。これが休日だったら大変だったと思う。特にボストン美術館展やってる、六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリーってところは狭いからあんまりゆっくり見られない。ボストン美術館展は、16〜17世紀の宗教画あたりから、バルビゾン派印象派、ポスト印象派、ちょっとだけピカソ、ブラックというあたりをざっくり選んで持ってきたという感じで、まあこういうところ押さえておけば安心だよねっていうラインアップ。それにしても、モネとかルノワールって良く見たら筆致が恐ろしく気合い入ってて、生で近くでみたら本当すごい(モネのノルマンディー沿岸の風景を描いた《プールヴィル、ラ・カヴェの道》と《ヴァランジュヴィルの崖の漁師小屋》の描き込みようとかすんごい)。ゴッホも然り。だから実物を見ないことにはしようがないわけだけど、ただ、ゴッホの《オーヴェールの家々》とかルノワールの《日傘をさした女性と子ども》とか言ってしまえば「絵になる」絵だから、ポストカードで見てもすごい良い絵に見える(ルノワールはちょっときついかもしれんけど)。それらに比べてセザンヌの《池》は格段に特異で始末におけない。筆遣いとか構図とか度外視しても迫ってくるものがある。こればかりは「そのもの自体」を見なくては意味ないと思う。

他に、個人的に好きな絵はドガが1874年の第1回印象派展に出品した《田舎の競馬場にて》と、ロートレックの《画家のアトリエのカルマン・ゴーダン》、それからコローの《花輪を編む娘》(リリアン・ギッシュみたい)とか《鎌を持つ草刈り人》とか。

えらく賑わっている土産屋でコローの《花輪を編む娘》のポストカードを1枚買って国立新美術館に移動。20分間くらい道に迷う。
去年(?)のピカソ展以来。あのときは、この世のものとは思えないほどかわいい横顔の女の子がいたので、ピカソより、その人追いかけたことのほうが印象に残ってる。絵より人だよなあとか思いながら、こうやって女の子を追いかける映画を撮ればいいんじゃないか?と思ったんだけど、すぐに『シルビアのいる街で』のパクリだと気づく。
オルセー美術館展のサブタイトルは「ポスト印象派」。ドガの《階段を上がる踊り子》がまず良かった。それからスーラとかシニャックとかがあって、そしてセザンヌが8点ある。《サント・ヴィクトワール山》が1つと、奥さんの肖像とか森の岩とか、水浴する人の太ももの裏のあたりとか。《台所のテーブル(籠のある静物)》が特にすごいと思った。

一番うっわあと思った絵はロートレック赤毛の女が床にへたりと座り込んでいるところななめ後方から俯瞰で描いている《赤毛の女(化粧)》。赤毛と肌の色、腰のまわりにだけ纏っているシーツのようなもの、黒い靴下などに向けた視線。

その他、ゴッホの馬車の絵(車輪ががっつり力強い)とふたつの肖像画に挟まれた《星降る夜》に心奪われた。筆が真横に走ってるの。あとはゴーギャン、ベルナール、ルドン、ヴュイヤール、ボナール、クノップフ、ルソーなど。

賑わっている土産屋でヴィルヘルム・ハンマースホイの《休息》のポストカード買う。このハンマースホイといい、ロートレック赤毛といい、ドガの踊り子といい、とにかく女性の後ろ姿の魅力に蠱惑されて筆を取ったと思われる絵がどれも素晴らしかった。