必ずやレビュー書きます。たぶん、いやきっと。

(9/10 追記)
というわけで、1カ月以上経ってしまいましたが、メモ程度に更新。一体だれが読むんだ!

この映画は「映画千夜一夜」で言及されているのを読んだとき以来気になっていたのだが、ようやっと念願叶い見ることができた。「映画千夜一夜」では、淀川さんの「綺麗だったね」という評価もさることながら、オデット・ジョワイユーの背後に白いシーツを被っただけの幽霊が立っているスチルがとても印象的だったのを覚えている。この白いシーツが「隠す」ことと「見せる」ことの両方の役割を果たす。
かつて祖母の愛人だった男の肖像に恋をした夢見がちの娘はその男の幽霊の存在を感じている。一方娘に一目ぼれした画商の息子とその友人は、娘のために開かれた晩餐会で幽霊の役割を演じるためシーツを被る。彼らは正体を知られてはならない存在だ。ところが、本物の幽霊である肖像の男(若きジャック・タチが演じる!)は、姿を見せたいがためにシーツを被るのだ。このシーツをめぐるドタバタと娘をめぐる淡い感情の交差、死んだ男と生きた男に対するジョワイユーの純真さを見せられて、見えるものも見えないものも同等に素晴らしい!と、つい心地よくなってしまった。
制作主任を務めているフレッド・オラン(『天井桟敷の人々』の制作総指揮として知られる)はルネ・クレマンのデビュー作でタチ主演の『左側に気をつけろ』からタチの映画に関わっているが、『乙女の星』制作中にタチと親交を深め、1946年に設立したキャディ・フィルムでタチ映画の制作を後押しすることになる。

ジャック・タチの映画的宇宙

ジャック・タチの映画的宇宙