オリヴェイラ
- 『アブラハム渓谷 (VALE ABRAAO)』 マノエル・デ・オリヴェイラ 1993年 (189分) |****|
- 『階段通りの人々 (A CAIXA)』 マノエル・デ・オリヴェイラ 1994年 (96分) |****|
ウィンブルドンの決勝戦を何となく最後まで見てしまった。4時間を越えるゲーム、フェデラーが勝った。テニスに特に興味があるわけではないが、このフェデラーという人は実に格好良い。ウディ・アレンが客席にいた。映画を撮ってないときはああやってヨーロッパでのんびり過ごしているのだろうか。
YouTubeにあったダグラス・サークの『誘拐魔』が削除されていて、すごいショック。早いところ見ておくんだった。しかし、YouTubeはこうやって削除することによって、見るものを駆り立てて、むしろ視聴者を増やしているのだろうな。ちょっとした生命倫理だ。
『光をめぐって 映画インタビュー集』蓮實重彦 筑摩書房 1991年p.108 ビクトル・エリセの発言 (古典的映画の人物像へのあこがれを超えた、現代的な演出―役者の選択について)
「私の意識とは関わりなく、私は現代に生きる人間であることを宿命づけられています。いくらジョン・フォードが好きでも、フォードのような映画は撮れない。私は深く現代のスペインに根ざした特殊な主題をとりあげますが、それは同時に普遍性につながっている。誠実な態度をもって局部的な問題と対峙しないかぎり、世界に向っては開かれえないと思います。たとえばブニュエルは、フランスで撮ろうが、メキシコで撮ろうが、いつでもスペインの問題をかかえこんでいました。それに反して、何か現代的な課題というものが抽象的に存在しているかのように信じ、それによって成功を勝ちえようとするのは悪しき問題の立て方だと思います。重要なのは、形式であり、スタイルであり、作品が世界に向って開かれるのはそれを通してだと思う。
私の二本の映画※は、人物の設定にしても、時代背景にしても、スペインの歴史の特殊な局面を基盤にしていますが、その局地性を透明化して普遍的なものにする形式的なディスクール、ランガージュというものを模索することが私の問題でした。
その一つの方法として、職業的な俳優と素人とを共演させるというスタイルをとったわけです。その遭遇を介して、興味深い結果が生まれたのです。」※『ミツバチのささやき』と『エル・スール』
うーむ、興味深い。
- 作者: 蓮實重彦
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1991/08
- メディア: 単行本
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