国内盤が相も変わらず高いので、UK輸入盤を購入。アレクサンダー・マッケンドリックの代表作のひとつで、イーリングコメディの代表作のひとつでもあり、DVDのジャケットにはイギリス映画の代表作のひとつであるとさえ書いてある。

教授と自称するアレック・ギネス以下5人の男たちが、下宿先の老宿主を利用して強盗の計画、実行、逃亡を図る。強盗と略奪したお金をどう運び、隠すかということと、殺人とやっつけたあとの死体を、誰がどう処理するかという2つの問題。団体行動から、個人行動に移っていくさまが楽しいような厳しいような。

輸送車強盗の手際や、街の撮影(オットー・ヘラー)や美術、警察官が下宿に巡回しにくるシーンの不穏なスクリーンプロセス、汽車の煙が橋の下から舞い上がるシーンなど画面が実に充実している。ギャグ(おばあちゃんネタが多い)に好き嫌いがあっても、画面が美しいので、映画が好きな人が見たら大概好きって言うんじゃないかね。アレック・ギネスはえらい。ちなみに『カインド・ハート』は1949年、『ラベンダー・ヒル・モブ』が1951年。