『パラード』が1974年公開でタチの死が1982年だからこれは恐らく彼の死の大体8年前の姿ということになります。そしてこれが彼の監督としても俳優としてもその最期の作品となったということ。1974年から1982年の間に何もなかったはずはないのです。この映画で彼がまるでこの地球以外の星で演じていたかのように、重力のくびきや時間の足かせをさっと脱ぎ去り、否、捨て去ることのできないことを時に隠し、時に強調しながらそれを笑いに転じさせて、まさに"自由を得て"見せた美しい運動の数々は、あるいは足腰が立たなくなり、もしかしたら手が上がらなくなり、ついに死んだというような、老人の最期に用意されているはずの物語を全く想像させませんでした。だから大いに笑いました。得難い体験です。ただ、人の心に笑いが届いたときに涙が訪れるというものです。