2014-11-27から1日間の記事一覧

土田九作は、踏幅の広い階段を、一つ一つ、ゆっくりと踏んで降りた。数は十一段であった。人間とは、自ら非常に哀れな時と、空白なまで心の爽やかな時に階段の数を知っている。 ―――『地下室アントンの一夜』 尾崎翠 尾崎翠集成〈上〉 (ちくま文庫)作者: 尾崎…