ブラウン、崑、フローリー、ハワード
- 『自由の魂』 クラレンス・ブラウン 1931年 |**|
- 『京』 市川崑 1969年 |*|
- 『銀座の猛者』 市川崑 1950年 |***|
- 『モルグ街の殺人』 ロバート・フローリー 1932年 |****|
- 『ダ・ヴィンチ・コード』 ロン・ハワード 2006年 |**|
『自由の魂』と『モルグ街の殺人』はyoutube、崑監督は日本映画専門チャンネル、ダ・ヴィンチはフジテレビ。
市川崑は様式美みたいなものを追っている作品よりも、40〜50年代の上映時間60分〜90分台の映画群のほうがよっぽど面白い。『銀座の猛者』は、藤田進が、柔道6段の医者を演じ、志村喬が友人の酔いどれ医者をやるという、明らかな、黒澤のアレとアレへのオマージュというかパロディがほほえましい。しかも志村の容貌がどこかしら大河内傳次郎に似ているうえ、藤田の友人役の河村黎吉は、過去に藤田に片目を潰されていて、妻に森の石松などと揶揄されているが、あれはむしろ、大河内傳次郎の丹下左膳のイメージなんじゃあないかと思う。ちなみに、未見だが、吉村公三郎がずばり『森の石松』という映画を撮っていて、そこで石松を演じているのは藤田らしい。河村も出演していて、彼には「江戸っ子」という役名が与えられている。
『モルグ街の殺人』は、素晴らしく馬鹿げていて素晴らしい。これも、十字架が絶えず画面を彩る映画の一つだ。
『ダ・ヴィンチ・コード』はいかにも原作ありきという感じで、語りすぎな印象だが、10分ごとにコマーシャルにリズムを分断されていたことなど差し引いて判断すると、案外悪くないかもしれない。交通事故のフラッシュバックが良い。『天使と悪魔』は余裕があれば見よう。それよりもロン・ハワードは『フロスト×ニクソン』を見たかったのだが、もう終わっちゃったかな。
※『銀座の猛者』は『銀座三四郎』の短縮再公開版らしい。