悲情城市

  • 『薔薇いくたびか』 衣笠貞之助 1955年 (135分) |**|

どういうわけかタイトルを『薔薇ひとたびの』だと思って見ていたから、なんとはなしに悲劇的な最後なのかしらと思っていたら、違ったので確かめたら『薔薇いくたびか』だった。「純潔」とか「美しい結婚」とかいう言葉がばんばん飛び出す。56年の『赤線地帯』で既にしたたかな売れっ子娼婦を演じていたわけだから、若尾文子っていう人は、本当只者ではないな。

恥ずかしいことに、ホウ・シャオシェンは、『ホウ・シャオシェンのレッド・バルーン』と「世界の巨匠たち」が参加したカンヌ映画祭のオムニバスしか見たことがなかったのだ。

  • 『絞殺』 新藤兼人 1979年 (118分) |*|

悲情城市 [DVD]

悲情城市 [DVD]

  • 『夕陽に向って走れ (TELL THEM WILLIE BOY IS HERE)』 1969年 (98分) |****|

これもyoutubeで。『卒業』が67年で、『明日に向って撃て!』が69年なわけだが、そういう文脈に沿っているのか、思いっきり食み出しているのか、エイブラハム・ポロンスキーの唐突な出現は異様だ(68年の『刑事マディガン』で脚本家としてはすでにカムバックを果たしているのだが)。そしてその存在の異様さそのものを表象しているかのようななんとも異様な映画。昼のシーンと夜のシーンが暴力的と言いたくなるような繋げかた。逃走するロバート・ブレイクと、全然離れたところにいるレッドフォードとのカットバックが何とも鋭い、速い。言葉では表象できない、速さ、映画の速さ。


英語字幕つき

まだ3時なのに、もう鳥が囀っている。6月だしね。