WOWOWで放映された『戦場のメリークリスマス』と『御法度』を見て思ったことは、アメリカでアメリカ人によって撮られた浅野忠信松田龍平のラブストーリーを見たいということです。浅野忠信のもったいなさすぎる役柄での起用が続いている現状はただただ歯がゆい。

それはさておき、というかそれを思うにつけ旅立つミア・ワシコウスカの傍らでヘンリー・ホッパーに一礼するあの『永遠の僕たち』の加瀬亮は日本人俳優とアメリカ映画の出会いとして例外的に光彩を放っていたと思わされます。そればかりか、「ナガサキの仇を討つのね」という無邪気な言葉に導かれるように映し出されるきのこ雲の映像が、その爆風と熱が及ぼした傷を起点にアメリカ人と日本人との愛と争いが展開する『ウルヴァリン:SAMURAI』でのオープニングとオーヴァーラップし、(『永遠の僕たち』で若い恋人たちが森を駆け抜けるときに流れる曲がスフィアン・スティーヴンスの「ウルヴァリン」だったことは偶然だったとしても)またしても画面に同じ長崎の閃光が登場することとなった『ペコロスの母に会いに行く』へと至り、その記憶を巡る映画で押し寄せる波のように母親の脳裏に蘇り消えていくいくつもの面影のなかの、死んでしまった夫を演じたのが加瀬亮その人だったことはどういうわけだかわからないがこればかりは必然のように思えてしまいます。