敗戦の日の朝、不快な夢の最中に電話が鳴り、出てみたら大学時代の友人(千葉在住・塾講師)が結婚をしたと。それで、書を捨てよ新宿へ出ようということになり列車でゴー。支度の時間に、本棚からプレゼントに咄嗟に選んだのがジム・トンプスンの美しい生まれながらの殺し屋だったのはなかなかどうして悪くないチョイスだったと思う。ブックオフのシールついてたけどね。それで結婚祝いに御馳走をするでもなく、むしろ逆にほぼすべて奢ってもらいつつ、喰い飲み、ダーツをし、おめでとうを言い、変わってないねと言われ、でも痩せたねと言われ、爪がきれいだねと言われ、よかったねよかったねと言い、お酒が抜けたあたりから小説と性と欲と男と女の話をして、売春と労働と、ロマンティシズムについて語り、三島中上大島御法度、女の人の描く男の子の同性愛(やおい)と、美女と野獣に話が及び、レア・セドゥの顔に話が落ち着いたあたりで時間が切れて、終電で帰ってきましたとさ。今日という日があったおかげであるいは書けるかもしれない。間に合うかもしれない。ありがとう、ありがとう、おめでとう。いくつかの深刻な心配事を抱えつつ、もう少し言葉が跳ねるように念じつつ。今日もさようなら。