叫びとささやき

『HELPLESS』を久々に見た。蓮實重彦が「絶対的な処女作」として『夜の人々』や『一瞬の夢』(ジャ・ジャンクー)を挙げていたなかにこれも論じられていたか失念したが、明らかなるシネフィルによる「シネマ」であるのに、「シネマ」でなくてもよい何物かが作られてしまっているという意味でやはりこれは絶対的な作品(そもそも「作品」なのか?)であろう。久々に戦慄したよね。あした最新作の『金魚姫』を見ようと思う。

 

いま、最も見られるべき映画という観点からベスト100くらい挙げる作業をしてもいいのかもしれない。何か見えてくるはずだ。

 

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10万円を国民全員に一律で給付すると。それが最短で8月になると。30万のほうはやっぱやめると。釘を刺さないと外国籍の人は除外されるかもしれないと。それが、「いま」だ。いま、見られるべき映画。結局いつでも見られるべき映画ということにはなるのだろうなあ。

 

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晴れのち雨。雨のなか、帰ってきた。見られるべき映画は、雨に濡れている人を撮った映画だ。すなわち、ジョン・フォードetc.

 

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服は売ればいい。魂は売らない。温和でありたいと思う。服従はしない、絶対にしない。

 

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「団結せよ!」("let us all unite!")と叫んだチャップリンは、「民主主義の名のもとに」団結せよと言ったのであって、そこに特定のリーダーはいる必要がない。無名の、誰でもない「わたし」が叫んでいいことばなのだと『独裁者』の演説シーンを見ればわかるではないか。民主主義は無名の「わたし」のか弱い叫びの集合体だ。叫ぼう。